大切な愛犬を望んで迷子にさせる飼い主さんはいません。
しかし、夏になると犬の迷子や脱走が増えるという事実はご存じでしょうか。
どんなに気をつけているつもりでも、何気なくとった行動が迷子や脱走をまねくこともあります。
「どんな状況が迷子を増やすのか」や「脱走させない対策」をしっかり覚えて、夏にむけて備えておきましょう。
犬の迷子の発生場所の約80%が「自宅」
迷子ペットの総合サイト「迷子ペット.NET」が飼い主さん114人に対して、犬の迷子に関するアンケートを行いました。
その結果、「迷子になった場所」で多く回答が寄せられたのは、下記の場所になりました。
▼犬が迷子になった場所
迷子になった場所の一番多くは「自宅」で、全体の約80%を占めました。
普段から自宅で「犬の脱走対策」を行っている方は多いと思いますが、このアンケート結果を見ると、十分気をつけていても「脱走」や「迷子」が発生しているということが伺えます。
迷子になってしまうと、交通事故など死に直結するリスクも高くなりますし、保健所や動物愛護センターに収監されてお迎えがなかった場合、譲渡や殺処分の対象になってしまいます。
「愛犬に二度と会えなくなる」と想像するだけで、背筋がゾッとしてしまいますね。
では、どのようにしたら犬の「脱走」や「迷子」を防ぐことができるのでしょうか。
対策を立てるために、まずは「どうして脱走が起きるのか」を見ていきましょう。
夏は犬の迷子が増える季節?!迷子が起きる原因は?
犬の迷子には季節的な要因もあり、夏に迷子が増える傾向にあります。
下の図は、「迷子ペット.NET」が月別に「迷子の発生件数」をまとめたグラフです。
夏が近づくにつれて「迷子の発生件数」がジワジワと増えており、8月にピークを向かえているのがわかります。
▼月別迷子の発生件数
では、どんなことが「犬の迷子・脱走」に繋がっているのでしょうか。
▼犬の迷子・脱走の原因
・庭から逃げてしまった
・玄関のドアが開いていて逃げてしまった
・窓が開いていて逃げてしまった
・網戸を開けたり壊して逃げてしまった
・雷、花火、太鼓の音に驚いて逃げてしまった
・散歩中に逃げてしまった
・車の乗り降りの際に逃げてしまった
原因を見てみると、「ドア」や「窓」が開いたことによる脱走が多いということがわかりますね。
犬を脱走させたくてドアや窓を開けている方はいないでしょうから、換気や来客時のドアの開閉などのちょっとした隙に脱走が起きていると思われます。
また、夏に脱走や迷子が多い理由として「雷や花火などの大きな音に驚いた」「網戸を開けたり壊した」ことによる脱走ということが考えられます。
大きな音は犬の恐怖心をあおるので、パニックになった犬が網戸を壊して外に出ることもありますし、ガラスに比べて爪が引っかかりやすいので、網戸を開けて外に出てしまうこともあります。
また、夏休みやお盆になると来客も増えるため、玄関や脱走防止用のゲートを閉め忘れたり開けっ放しにして、脱走させてしまうこともあります。
犬の脱走がどんな風に起きるのか、なんとなくイメージできたでしょうか。
それでは脱走の原因を踏まえたうえで「脱走させない対策」はどういったものがあるでしょうか。
対策を「5つ」ご紹介いたします。
犬を迷子・脱走させないための5つの対策
①玄関に「ペットゲート」を設置する
➁網戸の前に「柵」などを設置する
➂犬を洗うときは浴室で行う
④犬の散歩はダブルリードを使用
➄犬の車内フリーはNG
①玄関に「ペットゲート」を設置する
犬の脱走や迷子の原因を見ていくと、玄関や窓からの逃走が多くあげられていました。そのため、脱走しやすい箇所は二重、三重と対策を取っておくことが大切です。
まずは玄関ホールにペットゲートを設置しておきましょう。
玄関ホールへの侵入を防いでおくと、玄関ドアを開けた隙に外に飛び出すリスクをグッと低くすることができます。開けっ放しを防ぐために「オートクローズ」のペットゲート(ハイタイプのもの)がオススメです。
また門柱の所に門扉が設置可能であれば、そちらにも扉を設置しておくとより安心です。
玄関ホールのペットゲート、玄関ドアで脱走を止めきれなかった場合、外への脱走をくい止める最後の砦になります。
➁網戸の前に「柵」などを設置する
夏は網戸を使う機会が増えるので、網戸からの脱走にも注意しましょう。
中型犬サイズであれば、体当たりで網戸を壊したり破ることもできますし、小型犬であっても何度も引っ搔いているうちに、爪が引っかかで網戸が開くこともあります。
また2階だからと安心していると、屋根にのぼって脱走するおそれもがあります。
まずは、網戸に犬が触れにくい環境を作っておくという事が大切です。網戸の前に「柵」を設置して、犬が網戸に触れにくくしましょう。
➂犬を洗うときは浴室で行う
散歩から帰ったときの足洗いやシャンプーを玄関先でやっていませんか?
帰宅直後やシャンプーのときは、首輪やリードを外していることが多いので、脱走してしまうと見つける手がかりが少なくなってしまいます。
急に玄関ドアが開いたり、門扉の閉め忘れで脱走するリスクも高くなるので、散歩後の足洗いや犬のシャンプーは浴室で行うようにしましょう。
④犬の散歩はダブルリードを使用
散歩中の犬の脱走、迷子も多く起こっています。特にグイグイ引っ張って歩く犬や子供だけ(小学生以下)の散歩は要注意です。
犬が進みたい方向と逆に引っ張ると、首輪やハーネスがすっぽ抜けてしまったり、子供が転んでリードを離してしまうことがあります。
できれば散歩は「首輪」と「ハーネス」どちらもつける「ダブルリード」で行い、子供だけの散歩は避けるようにしましょう。
ダブルリードであれば、もう片方が抜けてしまっても、もう片方で脱走を食い止めることができます。
➄犬の車内フリーはNG
夏は犬と一緒にお出かけする機会も増えますね。
車に乗せるときは、車内で犬をフリーにするのは避けるようにしましょう。車の乗り降りの際に車外に飛び出て、迷子になる可能性が高くなります。
また脱走だけに限らず、車酔いの面からも交通事故の面からも、車内でフリーにするのはオススメしません。犬を車内に乗せるときは「クレート」にいれるようにしましょう。
クレートから犬を出すときは、車内のドアが完全に閉まっているのを確認してリードを付けてから外に出しましょう。
いかがでしたか?
犬の迷子捜索は非常に難しく、見つかるまで飼い主さんも辛い毎日を送らなくてはなりません。
できる対策はしっかりとって、迷子が増える季節に備えてくださいね。
<参考URL>
迷子になりやすい時期 迷子ペット.NET
>https://maigo-pet.net/tokusyuu/dog-maigo/detail-5.htm
迷子防止図鑑 犬編
>https://chibawan.net/wp-content/themes/chibawan/images/help/poster/maigo_dog_B4.pdf
<画像元>
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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