道端ですれ違うわんちゃん同士のケンカの背景に「リード」が関係しているかもしれないということをご存知ですか?
興奮する愛犬を止めようとリードを引っぱることが逆効果ということも!
お散歩にかかせないリードがわんちゃんに与える身体的・心理的影響について知ることで、トラブルを未然に防げるかもしれません。
今日のお散歩から実践できる、愛犬や相手のわんちゃんを刺激しないリードの使い方について考えてみましょう。
他のわんちゃんとすれ違う時、突如ケンカが始まるそのワケとは!?
お散歩の途中でよそのわんちゃんと挨拶させた時、突然「ガウガウ!」と吠え合ってケンカが勃発した!・・・なんて経験はありませんか?
それまで平気そうに歩いていたのに、いったいなぜ?と不思議に感じるかもしれませんね。しかし、実は愛犬も相手のわんちゃんも、私たち人間が異変に気づくよりずっと前からさまざまなサインを出しているのです。
普段のお散歩やお出かけ先で、双方のわんちゃんにリードがついたまま挨拶させる時を想像してみてください。
相手がまだ遠くにいる内からわんちゃんの意識はそちらに向けられています。飼い主さんがそれに気づかないまま(もしくは気にせずに)近づいていくと、他の犬が苦手な(または好きすぎる)わんちゃんは徐々にその緊張と興奮が高まっていきます。
そしていざ相手の近くまで来た時には、怖がったり威嚇したり、もしくは遊びたがって跳ね回ったりする愛犬を制御しようにも、手が付けられない状態にまでなっている・・・なんてこともめずらしい光景ではありません。
ところが、もしもまだ相手が遠くにいる時からわんちゃんの変化に注意していれば、その興奮は避けられたかもしれないのです。
リードが張った状態がわんちゃんに与える身体的・心理的影響とは?
リードが引っ張られた状態になると、わんちゃんの体は低く前傾姿勢になります。さらに、首輪に力がかかると口角が後ろへ引っ張られます。この様子はまるで「遊ぼう!」というシグナルに似ていますよね。
しかし他のわんちゃんに対して警戒心を持っている子の場合、同時に背中の毛を逆立てたり、尻尾を高く上向きにしたりして、自分を少しでも大きく強く見せようとするものです。全体的に見ると、わんちゃんが本来表現しようとしていることとは違う不自然なボディーランゲージになってしまうのがお分かりかと思います。このおかしな様子は相手のわんちゃんを混乱させ、さらなる緊張状態を生み出すことにつながってしまうのです。
そんな状態のまま相手との距離が縮まると、わんちゃんはよりいっそう興奮します。そして飼い主さんがそれを止めようとしてリードを引っぱると、そのテンションは心理的なプレッシャーとなってわんちゃんの体に伝わってしまうことになります。
それに加え、手繰り寄せたリードによってわんちゃんは飼い主さんのすぐそばにいることになるため、さらに強気に! こうなるともうわんちゃんの興奮は手に負えない状態になって、相手に激しく吠えかかってしまうことでしょう。
わんちゃん同士のトラブルを防ぐために、あえてリードを緩めてみよう!
北欧の一部の国など、ノーリードで公道を歩くことが法律で許可されている国々では、わんちゃん同士のトラブルは少ないそうです。先に述べたようなリードによる心理的プレッシャーやボディーランゲージの混乱が発生しないからでしょう。
日本ではノーリードでのお散歩は禁止されていますが、できることはあります。
他のわんちゃんを見かけたら、まずはあえてリードをたるませた状態で歩いてみてください。愛犬や相手のわんちゃんが少しでも不安そうだったり攻撃的な様子を見せたりするようであれば、それ以上近づいてはいけません。近づいたところで緊張は高まるばかりで、決して和らぐことはないからです。
興奮は繰り返すほどクセづいてしまいます。あえて遠回りをして落ち着いてやり過ごす経験を重ねれば「他のわんちゃんを見かけても興奮する必要ないんだ!」と学習することでしょう。
すでに他のわんちゃんに対して吠えかかってしまうクセがついている場合は、強い反応が出ない距離を保ってみてください。そのためには、愛犬よりも早く遠くのお散歩わんちゃんを見つけるようにしたいですね。
また、双方とも攻撃的な様子を見せずにちょっと興味を持つくらいであれば、リードをたるませたまま近づきましょう。挨拶をさせる時にも、かならずリードがたるんでいることを意識してくださいね。
愛犬がどんなに友好的なタイプでも、他のわんちゃんに会うと多少なりとも緊張はしているはず。リードによるプレッシャーがなく、正しいボディーランゲージを出すことができれば、相手も安心して挨拶ができます。もしできれば、相手の飼い主さんにも同様にリードを緩めてもらえるとベストですね!
リードの使い方ひとつで、わんちゃんの気持ちや行動が変化します。愛犬に心穏やかに過ごしてもらうためにも、今日のお散歩からちょっと意識をしてみませんか?
長年犬と旅をしてきたノウハウが誰かのお役に立てればうれしく思います。
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