初めて子犬を飼う方は、わからないことだらけです。
中でもしつけは悩むことが多く、ちゃんとしつけをしようといろいろ調べたりしますね。
でも間違った知識を覚えてしまうと、子犬との信頼関係を壊したり、問題行動を招いてしまいます。
初めて子犬を迎えた方に読んでほしい「やってはいけないしつけ」をまとめました。
やってはいけない子犬のしつけ方
やってはいけない子犬のしつけ方を5つご紹介します。
①主従関係のしつけ
➁子犬を脅かす・嫌なことをする
➂子犬を甘やかす
④しつけ方法をコロコロ変える
➄インターネットの情報を鵜呑みにする
①主従関係のしつけ
しつけの事を調べると、下記のようなキーワードを目にしませんか?
●犬が言う事を聞かないのは、飼い主を下に見ているから
●犬には上下関係をわからせないとダメ
●犬より上の立場になるには、どうすればいいか
少し前までしつけ方法は「犬を従わせる」主従関係が主でした。これはオオカミの群れの序列行動を犬のしつけに当てはめたためです。
しかし、「人はオオカミと同じようなしつけはできない」ということが行動観察でわかり、近年は「褒めるしつけ」や「飼い主は犬のガイド役」という考え方が浸透してきました。それでもなお、「飼い主は犬の上に立たねば」という考え方が根深く残っています。
犬に下に見られていると思い込むと、どうしても感情的になりやすいです。
力や恐怖で従わせる方法は子犬との信頼関係を失うだけでなく、子犬の性格をゆがめたり、身を守るために攻撃したりするなど、新たな問題を引き起こしてしまいます。
➁子犬を脅かす・嫌なことをする
●子犬が吠えたら、大きな音を立てる
●甘噛みをしたら、マズル(鼻先)をつかむ
●散歩で子犬が先を歩いたら、力ずくで引き戻す
上記のしつけ方法は、やってはいけないしつけの代表格です。
子犬が何かをするときは必ず理由があります。その理由に目を向けず行動だけ変えようとしてもうまくいきませんし、何が正解かも伝わりません。
子犬に嫌なことをするしつけは、飼い主さんへの恐怖や嫌な感情を子犬に植え付けるだけですし、弊害も多いのでやめましょう。
➂子犬を甘やかす
犬は学習する生き物なので、一度自分の要求が通ったらもっと要求してきます。
子犬が人や社会の中で生きていくにはルールが必要で、そのルールを教えたり線引きをしたりするのは飼い主さんです。
何でも「かわいそう」「しょうがない」と甘やかして犬の要求ばかり飲んでいると、「人や他の犬に飛びつく」「テーブルから食べ物を盗む」など、飼い主さんだけでなく他の人も巻き込んだ困ったことが起きてしまいます。つまり、犬自身も生きづらくなります。
可愛がることと甘やかすことは違うので「ここまではやっていいよ」「ここからはダメだよ」という線引きをきちんと教えてあげてくださいね。
④しつけ方法をコロコロ変える
より良いしつけ方法を取り入れたいと思うのが心情ですが、しつけ方法をコロコロ変えると「何が正解か」がわからず子犬が混乱してしまうことがあります。
さまざまな方法を試すのは大事ですが、必ず一貫性を持たせるように意識してください。
飼い主さんの気分や日にち、家族間でしつけ方法をコロコロ変えないにしましょう。
例:犬が遊び中に甘噛みをする場合
【NGなしつけ】
昨日は遊び中に手を噛んでも怒られなかったのに、今日は怒りながらマズル(鼻先)をつかまれた。
【OKなしつけ】
一貫してどんな状況でも皮膚に歯を当ててはいけないと教えます。
歯が当たると無言で室外に出て「歯が当たると楽しい事が終わる」と教えます。
「噛む場所が足ならOK」「お母さんだったら甘噛みOK」のような条件付けは混乱するのでやらない。
➄インターネットの情報を鵜呑みにする
お困りごとがあるとネットで調べる方が多いですね。
正しい情報もありますが、中には犬の行動学や心理学に基づいていない間違った情報もあります。
そのため情報を鵜呑みすると、問題行動を悪化させたり、まったく解決しないといったことが起きてしまいます。
情報の選別は難しいですし、文章で伝わりにくいちょっとの差で上手くいかない事もあるので、しつけで悩んだらまずはドッグトレーナーや行動療法の獣医師さんの手を借りましょう。
最初だけ熱心なトレーニングを行うのはNG
「いつまでトレーニングをした方がいいですか?」という質問をよく聞きますが、答えは「一生」です。
多くの方が子犬の時や飼い始めは、熱心にしつけやトレーニングに励むと思います。
しかし、慣れてくると新しいことに取り組んだり、熱心なトレーニングをしなくなります。
トレーニングしなくなると、どうなる?
●自分に関心が向けられなくなったと犬が寂しく感じる
●頭を使う機会が減る
●飼い主さんとのコミュニケーションが取りにくくなる
●褒める機会が減る
寂しさやコミュニケーション不足が問題行動を引き起こしてしまうこともあります。
いくつになっても犬は飼い主さんと一緒に何かをするのが大好きです。
年齢によってトレーニング内容を変えながら、ずっと一緒にトレーニングをして、たくさん褒めてあげてください。
子犬に信頼される飼い主になるために大事なこと
今までの内容で「子犬にやってはいけないしつけ方法」と「最初だけ熱心なトレーニングはNG」というのがおわかり頂けたのではないでしょうか。
では、子犬に信頼される飼い主になるためには、どうすればいいのでしょうか。
●犬目線の信頼感を知る
●犬のボディランケージをよむ
犬目線の信頼感を知ろう
一生懸命お世話をしているのに、懐かないと言うことを聞いたことはありませんか?
質の良い食事やトイレ掃除は確かに必要だし、犬の生活を幸福にしてくれます。
しかし、信頼関係を築くかというと少し違います。
犬が懐いたり信頼をするのは
●自分にとって「嬉しいこと」をしてくれる人
●犬が「怖い」「困った」ときに助けてくれる人
です。
つまり、苦手な犬に会ったときに守ってくれたり、たくさん遊んでくれる人に信頼感を持つのです。
人目線で「こんなに尽くしているのに」と思い込むと、信頼関係が築けなくなるので「犬の日常生活を快適にする行動」と「信頼関係を築く行動」は分けて考えましょうね。
犬のボディランケージをよめるようになろう
先ほど、犬が信頼感を持つのは「嬉しいことをしてくれる」「怖いときに助けてくれる」人とお話ししました。
子犬は人の言葉を話せないので「何を好きなのか」「何が嫌なのか」を知るためには、犬のボディランゲージを読み取らなくてはいけません。
ボディランゲージとは?
耳、姿勢、尻尾などで犬が気持ちを伝える方法です。体の一部で判断することはできず、性格や周りの環境も含めて判断するため、非常に奥深い分野です。
子犬を迎える前に、犬のボディランゲージについて学んでおきましょう。
初めて子犬を飼う時、情報をいろいろ調べたりしますね。その中には、古い情報や間違った考えが入っていることもあります。
間違った情報は子犬との信頼関係を壊すきっかけになるので、専門家や複数から情報を得るようにしましょう。
<参考文献>
ドッグ・トレーナーに必要な「子犬レッスン」テクニック
著者: ヴィベケ・S・リーセ 著者・写真: 藤田 りか子
犬の行動学入門 鹿野正顕、中村広基 (著), 森 裕司 (監修)
<画像元>
Unsplash
写真AC
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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