わんちゃんが一生懸命ソファーや寝床を掘っているのを見たことはありませんか?
掘っても何も変わらないのに一生懸命掘り続けているのには、実は色々な意味が隠されています。
中には「注意が必要な穴掘り」や「ストレスサインからの穴掘り」もあるので、一緒にわんちゃんの穴掘り行動について学んでいきましょう。
ソファーや寝床を掘る5つの理由
わんちゃんはもともと穴を掘るのが好きな生き物ですが、穴掘りには色々な意味が隠されています。
犬がソファーや寝床を掘る5つの理由
①巣を作ろうとしている
➁寝床に違和感を感じている
➂物を隠したい
④穴掘りに楽しみを感じている
➄ストレスが溜まっている
ひとつずつ見ていきましょう。
①巣を作ろうとしている
イヌ科の動物の多くは、地面に巣穴を掘って暮らしています。
わんちゃんの祖先も同じように穴を掘って巣穴を作っていました。
その本能が現代のわんちゃんの中にも残っていて、寝床を掘ったり自分の心地が良いように整えるという行動をとります。(犬にとってソファーやクッションなどの柔らかい素材は土に似た感触と認識されます)
➁寝床に違和感を感じている
●長い時間穴を掘る
●何度も寝床を整える
●寝床を整えた後もなかなか落ち着かない
上記のような仕草が見られたら、寝床がわんちゃんに合っていないのかもしれません。
例えば、「愛犬の好みの硬さの寝床ではない」「新しい素材の寝床に変えた」など、感じる違和感を無くそうとして寝床を掘ることがあります。
➂物を隠したい
食べ物を咥えてソファーを掘ったり、おもちゃに毛布やタオルを一生懸命かけたりするのもよく見る行動ですね。
大事な食べ物やおもちゃを取られないように隠しておくための行動だと考えられています。
ただ、隠した場所を覚えておけるかはわんちゃんによって異なるので、隠したことを忘れてそのままという場合もあります。
④穴掘りに楽しみを感じている
穴を掘る行動を楽しく感じて、遊びの一環としてソファーや寝床を掘ることもあります。
またその遊びが習慣になってしまい、毎日のルーティンとして穴掘りを行っている場合もあります。
➄ストレスが溜まっている
犬にストレスが溜まる原因(一例)
●運動が足りていない
●散歩が足りていない
●遊びが少ない
●犬の本能を満たす遊びができていない
●留守番が長い
上記のようにわんちゃんの生活が満たされていないと、ストレスを発散させるために穴掘りをすることがあります。
ソファーや寝床が壊れるほど穴掘りをする、何分も穴掘りを止めない場合は、ストレスが溜まっている可能性もあるのでわんちゃんの生活を見直してみましょう。
注意が必要な穴掘りは?
わんちゃんは色々な理由から穴掘り行動をしているのがわかりましたね。
遊びや寝床をつくるなど問題のない穴掘りもある一方で、注意が必要な穴掘りもあります。
愛犬がこんな行動を見せたら注意をしてください。
ストレスから穴掘りをしている場合
こんな行動が見られたら要注意
●物が壊れるほど穴を掘っている
●なかなか穴掘りを止めない
●何十分も穴掘りをしている
先ほどストレス発散のために穴掘りをしていることもあるとお話ししました。
「ストレス発散なら続けてもいいのでは?」と思うかもしれませんが、ストレス発散になるのは一時的で、わんちゃんには継続的にストレスや不満が募っている状態です。
ストレスの原因を見つけて解消しないと、常同障害と言われる「心の病気」になってしまったり、吠える噛みつくなどの「問題行動」を起こす可能性があります。
常同障害から穴掘りをしている場合
常同障害は犬の心の病気です。ストレスに長期間さらされたり、大きな環境の変化で発症する可能性があります。
常同障害にかかると心の安定を得るためにひたすら意味のない行動(常同行動)を繰り返します。
穴掘りは常同行動でみられる仕草の一つです。
こんな行動が見られたら要注意
●一点を見つめて一心不乱に掘る
●話しかけても穴掘りを止めない
●1日に何度も穴掘り行動をする
常同障害はストレスの原因を探ったり、お薬を使ったり、行動療法を取りいれることで改善できる病気です。
何かおかしいと感じたら、犬の行動療法専門の獣医師さんに相談しましょう。
■獣医行動診療科認定医紹介
>http://vbm.jp/syokai/
穴掘りは止めさせた方がいいの?
さて、わんちゃんの穴掘りには問題のない穴掘り行動もあれば、ストレスや心の病気から穴掘り行動をしていることもあるという事がわかりましたね。
では、穴掘り行動は止めさせた方がいいのでしょうか。
●穴掘りをすることで飼い主さんや犬に不利益(爪を傷めるなど)を起こさない
●ストレスからの穴掘り行動ではない
上記の場合、無理に穴掘りを止めさせる必要はありません。
ただ、わんちゃんと飼い主さんが暮らしやすいように、「3つの対策」を取ることをオススメします。
オススメの「3つ」の対策
①穴掘りをしていい場所を決める
➁わんちゃんの生活を見直す
➂穴掘り以外の楽しみも教える
①穴掘りをしていい場所を決める
ソファーや寝床を掘られて壊されたり、ソファーの中身や綿が飛び出して愛犬が誤飲したら大変です。
わんちゃんが穴掘り行動をしてもいい場所を作ってあげましょう。
お庭でもいいですし、室内であれば箱にタオルや布をたくさんいれて、それを掘ってもらうのもオススメです。
大好きなおもちゃやオヤツを使って、誘導してあげると楽しく穴掘りをすることができますよ。
➁わんちゃんの生活を見直す
穴掘りはストレスからも起こることがあるとお伝えしました。続けさせる場合も、止めさせる場合も、わんちゃんが犬らしい生活を満足に送れているかも見つめ直してあげましょう。
犬らしい生活が送れていない一例
●狩猟の犬種なのに狩りを模倣した遊びができていない
●散歩=運動だと思って全身運動の時間を取っていない
●散歩中に匂いを嗅がせない
悪気が無くても知らないうちに、わんちゃんにストレスを与えていた、犬らしい生活をさせていなかったという事もあるのです。
➂穴掘り以外の楽しみも教える
叱ったり無理にやめさせようとすれば、かえってストレスになることもあります。
ボール遊びや引っ張りっこ、オヤツを探す遊びを一緒にして、穴掘り以外にも楽しい遊びがあることも教えてあげましょう。
いかがでしたか?
普段よく見るソファー掘りには、愛犬のさまざまな感情が隠されています。
犬の行動をよく理解して、ストレスサインを見落とさないようにしてあげたいですね。
<参考文献>
・動物看護のための動物行動学 森 裕司 (著) 武内 ゆかり (著)
・イヌの動物行動学: 行動、進化、認知 アダム ミクロシ (著)
・動物の精神科医”が教える 犬の咬みグセ解決塾 奥田 順之(著)
<画像元>
Unsplash
PIXaday
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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