わんちゃんとの楽しい生活を夢見て縁がある子を迎えたけれど、甘噛みがひどくて困っているという飼い主さんは多いです。
噛みつきを止めさせるトレーニングは家にお迎えした日から行えます。
どうして甘噛みをしてしまうのか、どうしたらやめてくれるのか、一緒に学んでいきましょう。
子犬が甘噛みをする5つの理由は?
①噛むことが楽しいから
子犬は遊び盛りの年齢です。新しい物や興味をひくものがあると匂いを嗅ぎ、口に入れてかじります。噛んだ時の感触が気に入った場合は、ずっと噛み続けます。
子犬にとっては自然な探索行動であり、対象物がどんなものなのかを確かめながら成長していきます。
➁遊びの加減がわかっていないから
子犬同士が遊ぶときによく取っ組み合いをしているのを見かけますね。その取っ組み合いの中で噛む力加減や、やってはいけないラインを学んでいきます。
しかし、お母さんや兄弟から早くに引き離された子犬は、力加減などを十分に学んでいません。子犬にとっては遊びのつもりでも、飼い主さんからすると怪我をするくらい痛い場合もあります。
➂噛んだらいけない物がわかっていないから
噛んでいい物と噛んではいけない物は教えていなければ、子犬に区別はつきません。
人の体や物は噛んではいけないものと認識されていなければ、歯を立ててしまいます。
④噛むと関心が自分に向かうから
子犬が噛むと「だめだよ~」と声をかけたり、子犬に触れたりしていませんか?飼い主さんからすると止めるように促している行為だったとしても、子犬の中ではご褒美になっている場合があります。
噛めば遊んでくれる、かまってもらえると学習してしまうと、自分に関心を向けるために噛みつくようになってしまいます。
➄歯がかゆいから
歯の生え始めや生え変わりの時期は、口の中に違和感を感じたり、むずがゆかったりします。
それを解消するために、よく噛むようになります。
愛犬の甘噛みを放置するとどうなるの?
甘噛みを治さずに放置していると、人の皮膚や物に歯を当ててもいいと学習していることになります。
子犬であればあごの力が弱いため軽い怪我で済んでいたかもしれませんが、成犬になるとあごの力も強くなるので大怪我をしてしまいます。4~5カ月齢頃までに甘噛みは止めさせましょうとよく言われるのは、このころから歯が永久歯に変わりあごの筋肉が強くなっていくからです。
また、噛んでいい物とダメな物の区別がついていないので、スリッパや服なども噛んでダメにしてしまいます。
子犬の時はいいけれど、大人になったらダメという理屈はわんちゃんにはわかりません。
噛んでしまった対象が他人になると、責任問題にもなってしまいます。
愛犬の甘噛みを止めさせる方法は?
環境を整える
子犬に噛まれて困るもの、危険なものは届くところに置かないようにしましょう。
子犬のときに興味を持たなかったものは、成犬になった後も興味を示さない傾向にあります。
子犬の時期はいろんなものに触れて、学ぶ時期でもあります。
噛んでいい物、口に入れていい物の判断は子犬にはできないので、飼い主さんが環境を整えてあげましょう。
運動・遊びの時間を十分とる
ワクチン接種が終わっていたら、外で運動する、おもちゃで遊ぶ時間を十分とってあげましょう。
遊び盛りの子犬はエネルギーの塊です。
エネルギーを発散せずにあれはダメ、これはダメと押さえつけていると、ストレスをためてますます噛みつきがひどくなります。
有り余るエネルギーを運動や遊びで発散することで、飼い主さんに噛みついてくる頻度を下げることができます。
遊ぶときはボール投げ、追いかけっこ、オヤツ探しなど噛む以外の遊びを教えてあげるのもオススメです。
歯を当てたら遊びは中断
噛む強さにかかわらず、甘噛みであっても人の皮膚や物に歯を当ててはいけないと教えましょう。
子犬と遊んだり、撫でている時に子犬が皮膚に歯を当てた瞬間に「あっ!」と大きな声を出して遊びや撫でるのを中断します。
子犬が噛むのを止めたら、止めた報酬として遊びを再開します。
子犬が噛むのを止めない場合は、無言で目を合わせず部屋から出ます。
子犬が落ち着いたら戻ります(子犬をケージに戻してもOK 落ち着いたら出す)
何度もこれを繰り返して、歯を当てると楽しいことが終わってしまう、噛まなくなったら楽しいことが再開されるということを覚えさせましょう。
覚えるまで何度も繰り返す
子犬は人の言葉がわかりません。
人の皮膚や物を噛んではいけないというルールを覚えさせるには、何度も繰り返し行うことが大切です。
そのやり取りの中で、子犬はここまではできるんだ、ここから先はやってはいけないんだというラインを学んでいきます。
そのため1度でも注意しなかった、家族内で対応が変わる等があると子犬は線引きがわからず混乱してしまいます。
噛んでもいいものを与える
子犬が口に入れるものは噛んでいい物だけにしましょう。
歯の生え変わりで硬い物をかじりたがるので、歯みがきロープや歯みがきガムなどを与えて噛みたいという欲求を満たしてあげましょう。
犬の甘噛みを悪化させるNG行動は?
手を使って子犬を興奮させない
子犬の顔や体まわりで手をひらひらさせて興奮させたり、手をおもちゃにして遊ぶことはやめましょう。
手をおもちゃにして遊ぶことは、手を噛むことを教えていることと同じです。
手を噛む機会を与えないようにしましょう。
体罰・脅しは使わない
口の奥に指を突っ込む、鼻先をつかんで叱るなど罰は行わないようにしましょう。
子犬に言葉は通じないので、子犬が恐怖を感じれば自分の身を守るために攻撃をし、状態はさらに悪化してしまいます。また、臆病な子であれば人を怖い存在と覚えて萎縮してしまいます。
これから何十年と関係を築いていく子犬を追い詰めるようなことはしないようにしましょう。
成犬になってから噛みつきを止めさせるのは非常に労力がかかります。子犬のうちに人を噛んではいけないと教えてあげましょう。
2週間たっても甘噛みをやめない場合は、タイミングなどがずれているのかもしれません。
犬の保育園や動物行動学を学んでいる獣医師さん、ドッグトレーナーさんに相談しましょう。
<参考文献>
・犬の甘噛みについて:DOGGY STATION Vol.106
・動物看護のための動物行動学
著者/森裕司 武内ゆかり 監修/日本小動物獣医師会 動物看護師委員会
・ドッグ・トレーナーに必要な「複数の犬を同時に扱う」テクニック
著者: ヴィベケ・S・リーセ / 著者・写真: 藤田 りか子
・動物の精神科医”が教える 犬の咬みグセ解決塾 奥田 順之
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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