愛犬をケージに入れると、暴れたりウロウロ落ちつかないことはありませんか?
わんちゃんにとってケージは居心地のいい場所なのに、大暴れされたり、吠えられると心配になってしまいますね。
わんちゃんがケージで暴れる理由と対処方法を知って、愛犬とのコミュニケーションに役立てましょう。
犬がケージで暴れる5つの理由
①運動がしたい
散歩や運動量が見合っていない、遊び足りないという場合、催促で暴れることがあります。
また散歩の時間が決まっていると、時間が近づいたことを察して、興奮して暴れることがあります。
➁ケージの中が居心地が悪い
ケージに入れるとすぐに出たがる、ドアをひっかくという場合は、ケージの中が居心地悪い空間になっているのかもしれません。
ケージに慣れさせて「ケージ=いい場所」を認識をさせるトレーニングをしましょう。
また、人通りがあるところや窓の近くにケージを置いていると、人の動きや音に反応して落ち着けない空間になっていることがあります。
➂警戒している
わんちゃんは警戒心の強い生き物です。
来客やインターホンがなると、自分の縄張りに見知らぬ人が入ってくるため、警戒心や不安からケージの中で暴れたり、吠えたりすることがあります。
④興奮している
飼い主さんの興奮に同調している場合もあります。
飼い主さんや家族が大声を出したり、ゲームなどを楽しんでいると、わんちゃんも一緒に加わりたくてケージの中で暴れることがあります。
➄退屈している
ケージの中で退屈を感じていると外に出してほしいと暴れることがあります。
人でも何もない場所に長時間いるのは、辛いですよね。
ケージに入れる時には、食事やトイレ、遊びなどすべて終わらせて後は寝るだけという状態にしてあげましょう。
ケージで暴れると良くない訳
わんちゃんがケージで暴れると、一番心配なのか怪我です。
ケージの網や隙間に爪をひっかけて、爪を折ってしまったり、ぶつかった拍子にケージが壊れてしまい破損部分で顔や口を切ってしまうこともあります。
爪の中には血管が通っているので、根元から折れてしまうと出血も多く、しばらくは痛みで地面に手を付けることができません。
また、ケージ出してほしい時に二足歩行をするわんちゃんがいますが、脊椎に瞬間的に強い負荷がかかると椎間板ヘルニアをおこす危険性があります。
体が小さく胴が長いわんちゃんほど脊椎への負荷が大きくなるため、二足歩行が日常化してしまうと発症リスクが上がっていきます。
ケージの中で暴れさせない、暴れ始めたら落ち着かせるという習慣を作ることが大切です。
犬をケージに入れる前に大切なこと
・1日2回散歩に行く
・しっかり遊ぶ
・排泄をすませる
・食事をすませる
・クッションやタオルなどをケージに入れる
・オヤツや知育のおもちゃをケージにいれる
ケージの中に入れる前に上記のことが満たされているかチェックしましょう。
ケージの中ではリラックスして過ごせるように、エネルギーをしっかり発散させて、欲求を満足させた状態で入れてあげましょう。
また、飼い始めのころはケージに慣れていない可能性があります。
ケージが嫌な場所にならないように、暴れる前に出す、ケージにいれる時間を短くする、ケージの中でオヤツをあげるなど、自分からケージに入れるようになるトレーニングをしましょう。
犬がケージで暴れたときの5つ対処法
①上からアプローチしない
ケージは上の部分が開いていることが多いですね。
上から触ったり声をかけたくなりますが、わんちゃんが興奮して後足で立ちあがったり、二足歩行しやすくなります。
腰や脊椎に負担をかけてしまうので、上からではなく座ってアプローチをしましょう。
また、覆いかぶさるようなポーズは、わんちゃんが飼い主さんの表情を読み取りにくいだけでなく、威圧感を感じやすいです。
➁落ち着くまで無視をする
食事や散歩などが済み、欲求が全部満たされている状態で暴れ始めた場合は、無視をしてもかまいません。(怪我など緊急性がない場合)
その場にいると吠えるのが激しくなるときは、一旦部屋から離れてください。
わんちゃんが落ち着いたタイミングで、外に出したり触ったりしてあげましょう。
➂帰宅してすぐに触らない
帰宅するとわんちゃんが大喜びで迎えてくれますね。
すぐに触りたい気持ちもありますが、嬉しさで興奮しているわんちゃんに声をかけたり、触ったりすると余計に興奮して暴れてしまいます。
暴れて怪我をしたり、関節を傷めたりしないように、わんちゃんが興奮している間は反応せず、落ち着いたら触ったり声をかけてあげましょう。
④コマンドを出す
落ち着かせるために「伏せ」「スワレ」などのコマンドを出すのも有効です。
ただ、暴れている間は意識が「出たい」「かまってほしい」に向ているので、コマンドが通りにくくなります。
声をかけずケージの側に座ってわんちゃんが落ち着くのを待つか、別のことに意識を向けさせましょう。(指を鳴らすなど)
わんちゃんの動きが落ち着いたタイミングで「スワレ」「伏せ」などのコマンドを出して、従ったら褒めてあげましょう。
➄ケージの扉を開けておく
閉じ込められるのが嫌で暴れている場合もあります。
誤飲対策やいたずら対策が取られている部屋で、トイレトレーニングが済んでいるようであればケージの扉は開けっ放しでもかまいません。
自分で自由に出入りできる環境の方が落ち着く、安心する場合があります。
やってはいけない対応
音で脅かす
良くない行動をしたときに大きな音を出したり、壁を叩いて驚かして止めさせるという方法が紹介されていることがありますが、この方法はお勧めしません。
音に慣れれば効果がなくなりますし、何が悪かったのかもどう改善すればいいのかも伝わりません。
繊細なわんちゃんであれば音や音を出している飼い主さんに怯えるようになります。
今のしつけの主流はとってほしい行動の頻度を褒めてあげていくことです。
オヤツやおもちゃを与える
大人しくなるからと暴れるたびに、オヤツやオモチャを与えていると、暴れるとご褒美がもらえると学習してしまいどんどん行動がエスカレートしていきます。
オヤツやオモチャを与えるときは、暴れたらではなく、落ち着いたご褒美にしましょう。
ケージはわんちゃんにとって安心できる場所ですが、入れる前にはきちんと欲求が満たされているか確認することが大切です。
わんちゃんの状態や家庭環境にもよりますが、安全対策としつけをきちんとすれば、ケージ無しで飼うことも可能です。
わんちゃんがケージで暴れて困っているという方の参考になれば幸いです。
<参考文献>
・コラム 間違ったしつけ方 DOG SCHOOL Visse
・椎間板ヘルニア 桑原動物病院
・愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術/著者:田中雅織
・犬はあなたをこう見ている 最新の動物行動学でわかる犬の心理/ジョン ブラッドショー (著), 西田 美緒子 (翻訳)
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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