みなさんは、愛犬を一人でお留守番をさせるときに何か対策を取っていますか?
人と犬とでは体感時間が違うので、留守番できる限界時間を知ること、お留守番対策をとってあげることはとても大切なことです。
犬のお留守番調査でわかった実態は?
ドッグオーナー759人にお留守番に関する調査を行いました。
「愛犬をどれくらいの頻度でお留守番させていますか?」という問いに対して、90%以上のオーナーが週に1日以上と答えており、ほとんど毎日留守番をさせているオーナーは31%になりました。
また「1回のお留守番の時間は?」という問いに対しては、69%の方が3時間以上留守番をさせていると回答し、15%の人が8時間以上留守番をさせていると回答しました。
一人暮らしや共働きなどでどうしても留守番時間や回数が長くなってしまうことが伺えます。
また、留守番をさせることに対して「後ろめたい」「心配」といったネガティブな感情の声が多くあがっています。
愛犬のお留守番対策とっていますか?
みなさんは、わんちゃんを一人でお留守番させるときに何か対策をとっていますか?
愛犬を留守番させたことがある方(680人)にアンケートを取ったところ、6割以上の方が「特に何もしていない」と回答しました。
わんちゃんのいたずら防止や危ないものに触れないように、ケージに入れる方もいますが、多くの方が特に対策を取っていないという結果になりました。
いい子にずっと待っているわんちゃんもいますが、群れの習性を持っているわんちゃんにとって、飼い主さんから離れることは実はとっても辛いこと。お留守番対策をしっかりとって、1人で過ごせる限界時間を知っておくことは、わんちゃんとの信頼関係を築くうえで大事なことです。
お留守番は何時間が限界なの?
オーストラリアのクイーズランド大学のチームが動物行動クリニックを訪れた犬をもとに調査を行いました。
その結果、1週間における留守番時間が長ければ長いほど、犬が問題行動を起こしやすくなるということがわかりました。
特に破壊行動やいたずらは、家を空ける時間が不定期、1週間に20時間以上だとリスクが非常に高くなったそう。週に2日休みと考えると、家を空けれる時間は1日約4時間くらいになりますね。
動物愛護先進国と言われるスウェーデンやドイツでは、お留守番時間は6時間までと定められているそうです。
わんちゃんが一人でお留守番できる時間は、4~6時間が目安と考えておくといいかもしれません。(子犬や留守に慣れていない子の場合は異なります。)
長時間のお留守番の影響は?
わんちゃんを長時間留守番させておくと、どんな影響があるでしょうか。
よく聞くのが「分離不安」や「いたずら」ですね。
飼い主さんと離れることに不安を感じて、不安を抑えるために物を壊したり、吠えたり、トイレでない場所で排泄をしたりします。中には、自分の手を異常に舐める、しっぽを噛むといった自分を傷つける方法で気持ちを抑えるわんちゃんもいます。
分離不安や自分を傷つける行為(常同障害)は心の病気です。いつもと同じ行動だからと見過ごしていると、悪化してしまう可能性があります。
また、犬と人では体感時間が違うので、長い留守番の時間に物を漁ったりかじったりするといった行為で退屈を紛らわそうとする場合があります。わんちゃんからしたらただの遊びですが、口に入ると危ないものもありますし、誤飲の危険もあります。
仕事や買い物でどうしても愛犬を一人で留守番させないといけない場面はででくるため、留守番対策をしっかりと取ることが大切ですね。
お留守番をさせるときの対策は?
朝にたくさん散歩に行く
朝、散歩に行かないとエネルギーを発散するところがありません。そのため、余ったエネルギーをいたずらや吠えるといった問題行動に回してしまいます。
朝にたくさん散歩に行って、朝ごはんを食べて、お腹が膨れたから眠るというのが理想ですね。
出かける前にコングやノーズワークを
飼い主さんから離れることに不安を感じている子の場合、飼い主さんが出かけるということに意識が集中しています。
コング(知育のおもちゃ)に大好物を詰めたり、タオルの間にオヤツを隠して探す遊び(ノーズワーク)をさせて、飼い主さんから意識をそらしている時に出かけましょう。コングは誤飲しない大きめのものを選びましょう。
人がいるときと同じ環境にする
テレビや電気を消すといった行動の後に留守番をさせていると、その行動をわんちゃんが覚えて不安になる可能性があります。
わんちゃんを留守番させるときはテレビや電気をつけたままにしておく等、人がいるときと同じ環境にしてあげましょう。
カメラを付ける
留守番中の様子が確認できるので、カメラをつけるのもオススメです。カメラを付けて、愛犬が分離不安になっていることに気づいたというケースもあります。
また、愛犬に声掛けができる、遠隔操作でオヤツを与えることができる機能がついたカメラもあります。外にいてもわんちゃんとコミュニケーションが取れますし、オヤツを与えられるので簡単なゲームをすることもできますね。
お留守番ができる訓練をする
訓練をしないままいきなりお留守番をさせてしまうと、分離不安になるリスクがあります。(特に子犬の場合)
わんちゃんだけで過ごす時間を最初は5分、慣れたら10分など短いスパンでお留守番させるトレーニングをしてあげましょう。待っていれば必ず飼い主が帰ってくるという安心感を与えてあげることができます。
ペットシッターや犬の託児所を利用する
愛犬に一人で待たせているのが心配、申し訳ないという場合はペットシッターさんや犬の託児所を利用するのも一つの手です。
一人ではなく、人がいる、たくさんのわんちゃんがいるという環境で過ごすことができますし、ドッグトレーナーや獣医師が在籍しているところもあります。
不安を感じずに、楽しみながら待てる場所を作ってあげるというのも大事なことですね。
わんちゃんと生活をするうえでお留守番は避けられないことです。だからこそ、わんちゃんが少しでも楽しみながら待てる、安心して待てる環境を作ってあげる必要があると考えます。
愛犬が留守番をする環境を一度見直してみませんか?
<参考文献>
・愛犬の”お留守番“は、世界共通の心配事 心配なお留守番の対策は、「特に何もしていない」が過半数に Tomofun株式会社
・An epidemiological analysis of dog behavior problems presented to an Australian behavior clinic, with associated risk factors
・One in four pet dogs ‘˜suffering from loneliness’
・愛犬との絆を深める散歩でマスターする犬のしつけ術 著者:田中雅織
<画像元>
illust STAMPO
ICOOON MONO
Unsplash
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手
やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。
大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。
愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。
「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。
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