我が家にはアメリカンピットブルとジャーマンシェパードドッグの、2頭の保護犬がいます。
インターネットに書いてある一般的な多頭飼いとは、少し違う経験をしました。
保護犬同士だからこそ仲良くできることもあれば、お互いを思いやる気持ちや相性が大切になる理由、また個人での多頭飼い崩壊はどうして起こるのかまでまとめました。
保護犬の多頭飼い、飼い主が気を付けることは?
私は幼い頃から犬と一緒に生活してきましたが、多頭飼いをしたことはありませんでした。
2匹目を引き取ると決めてから毎日のようにインターネットで情報を集めていたのですが、私が実際に経験した、保護犬ならではの多頭飼いの注意点があります。
- ・相性が何より大切、距離感を保ってあげましょう。
- ・トラウマを抱えているもの同士にしか、治せない傷がある。
- ・彼女たちの主張はしっかり聞き入れること。
- ・片方が辛い思い出のあることは、何事も避けてあげる。
- ・細かいことは犬同士に任せておけば何とかなる。
犬も人と同じように相性があるので、お互いを知り合う時間を設けることが大切です。
当日からいきなり2匹とも室内フリーで飼うお家もあるようですが、保護犬は今までどういった経験をしてきたが不透明な部分もあります。
そこで普段生活しているリビングにゲージを用意し、2匹目に迎えた子にはそこで生活してもらうことにしました。
目線は先住犬と同じ位置になるように、床にゲージを置き、寝るときは2匹目の子にストレスがかからないよう、タオルケットをかけて視界を塞ぎました。
そしてインターネットによく書いてある「何でも先住犬を優先して扱うこと」という多頭飼いの注意点は、我が家では取り入れませんでした。
どちらが上でどちらが下、というのは犬同士にはあるかもしれませんが、私たちにはありません。
なので、上下関係を決めるのはあくまでも犬同士の問題で、人が率先してやるべきではないと感じたのです。
先住犬はアメリカン・ピットブル・テリアで体も大きいのですが、気が弱く優しすぎるほど優しい子です。
2匹目に迎えた子はジャーマン・シェパード・ドッグで、やんちゃ娘でとにかく気が強く、負けん気がものすごい子でした。
私たちが優先順位を付けずにいたら、2匹目の子が上に立つようになったのですが、見ている限り先住犬は犬同士の関係性を心地よく思っているようです。
お互いにないものを補い合っているような関係性は、見ているだけでほっこりさせてくれます。
トラウマを持つ保護犬だからこそ、多頭飼いで強い絆ができる。
保護犬は何かしら‘’理由‘’があって保護されるのですが、我が家の場合は、先住犬は前の飼い主に虐待を受けていて、2匹目の子は野犬だったので山で生活しているところをレスキューされました。
そのため2匹ともトラウマを抱えています。
【先住犬】
- ・男性が苦手
- ・ゲージや車の中などの、狭い場所に入れられると震える
- ・工事現場やトラックの走り去る音など、大きな音に怖がる
- ・初めて見るものが家にあると、警戒して2〜3日は近付かない
【2匹目に迎えた子】
- ・外に出るのが怖い
- ・匂いを嗅いで相手や場所をよく知ってからでないと、自由に動けない
- ・大きな物音を聞くと、全身痙攣を起こしてしまう
- ・先住犬とは真逆で、狭くて暗い場所を好む
全く違う過去を持ちながら、似たようなトラウマが多く見られました。
保護犬ならではで面白いなと感じたのは、どちらかが怯えていたり吠えていたりすると寝ていても飛び起きて相手のいる場所へ走っていき、そばに寄り添うのです。
特に怖がっているときは顕著にその特徴が見られて、何も言わずにただ体をくっ付けてそばにいます。
話すことはできなくても一緒に生活していく中で、私たち人間には分からないもので繋がり合っていることがよく分かりました。
こちらが必要に‘’何とかしてあげなきゃ!‘’と思うより、犬同士に任せておいた方が、トラウマの回復が早いことを学びました。
我が家の保護犬もそうですが、多くの保護犬は過去が不透明であることが多いです。
‘’今までなにがあったか分からない‘’からこそ、過剰に構うよりも見守ることの大切さを知ることができました。
個人の多頭飼い崩壊は、どうして起こるの?
保護犬が生まれる1番の理由といわれているのが、多頭飼い崩壊です。
飼いすぎて面倒を見きれなくなることを多頭飼い崩壊というのですが、ブリーダーやペットショップだけではなく、個人宅でも起こることがあります。
保護犬を飼い始めてから、里親募集を見たり殺処分予定の子を見てしまうと、どうしても引き取りたくなる衝動に駆られてしまいます。
ですが、自分たちの生活と犬たちの生活を保つためには飼える頭数にも限界があります。
‘’助けたいのに、助けたら自分たちの生活もままならなくなる。‘’
そんな衝動に幾度となく駆られてきましたが、ここでむやみやたらに引き取ることで多頭飼い崩壊が起こるのです。
見捨てているようで良い気持ちにはなれませんでしたが、それでも2匹の命を救うことができた。
この事実を大切にして生活していくことが、救えなかった子に対してのせめてもの償いなのかなと思っています。
ペットショップにいる子たちも、売れなければ店員さんが引き取ったり里親に出されたりするそうです。
その子たちの1匹でも幸せにできたら、それだけで充分ではないでしょうか。
保護犬の多頭飼い、楽しく幸せに暮らしていくためにできることは?
保護犬を飼う少し前、犬と話せるという女性に会う機会がありました。
その頃の私はまだ本格的に引き取る予定はなく、いつか引き取れたらいいなという程度でした。
犬と話せる女性に会って、言われたことが今でも保護犬と暮らす上でとても役に立っています。
「犬は過去を見ずに未来だけを見て生きる動物だから、可哀想と思って接することだけはしないでね。これから楽しいことしかないよ、という気持ちで接していけば、過去の傷はどんどん消えていくものだから」
やはり境遇を考えると叱ることすら躊躇しそうになりますが、あくまでも過去は過去、今は今と飼い主が割り切って考えないと、犬にまで感情が響いてしまいます。
トラウマをたくさん抱えていて、他の子にできることができるようになるまで数年かかってしまうこともザラです。
ですが、‘’手のかかる子の方が可愛い‘’とよく言いますよね。
何でもしてあげたくなる気持ちをグッと抑え、見守ることも必要だと学びました。
まとめ
色々な感情が入り混じる保護犬との生活ですが、私たち飼い主も学ぶことが多いものです。
初めての多頭飼いに初めての保護犬でしたが、2匹を一緒に飼うことでより一層、心強く慣れました。
多くの問題は人が心配するよりもずっと、犬同士で解決することができます。
たくさんの犬に触れ合わせて、心の傷を癒せるように多頭飼いでなくても、社会性を身に付けるようにしましょう。
沖縄移住をきっかけに保護犬ボランティアを始め、アメリカン・ピットブル・テリアとジャーマンシェパードドッグの元保護犬2匹と一緒に暮らす。
アメリカン・ピットブル・テリアがアレルギー疾患を抱えていたことをきっかけに、食の大切さを知り、現在は生食にこだわった食事を取り入れている。
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