犬の寝付きが悪い場合、そこには様々な原因が存在します。
しかし、その原因の多くに、私たち飼い主との生活環境が大いに関係しているのをご存知ですか?
今回は、犬が夜寝ない原因やなかなか寝付いてくれない時の対処法、病気を疑った方が良い症状についてまとめました。
犬が夜寝ない意外な原因とは?
いつもは夜ぐっすり寝ている愛犬が、ある日を境に夜中起きて部屋をウロウロするようになった、とか、特に思い当たることがないのに夜寝てくれない…といった場合、その主な原因には、もしかしたら飼い主さんとの生活環境が大きく関係しているかもしれません。
では、その意外な原因とは一体どんなことなのでしょうか?
犬が夜寝ない主な原因には、次のようなことが考えられます。
犬が夜寝ない主な原因①:精神的ストレス
精神的ストレスが原因で犬が夜寝られなくなっている場合、その原因として考えられるのは、飼い主さんとのコミュニケーション不足や飼い主さんの過度な甘やかしによる分離不安、飼い主さんが抱える不安や心配事などが関係している可能性があります。
筆者の実体験でも、筆者が精神的に参っている時には、愛犬は頻繁に心配して傍にいてくれましたが、その不安や緊張、心配は愛犬にも伝染してしまい、結果的に筆者のみならず愛犬の寝付きも悪くしてしまうという状況を招いてしまったことがあります。
このように、犬は、飼い主さんが何かしら精神面でストレスを抱えていると、通常時と比べて心拍数が上がり、心配して近付いていくことが分かっていて、犬自身もストレスを感じることが分かっているため、この場合での愛犬の不眠については、ご自身のメンタルケアに努めましょう。
犬が夜寝ない主な原因②:肉体的ストレス
肉体的ストレスが原因で犬が夜寝ずに、部屋をウロウロと落ち着かずに起きている場合は、愛犬と遊ぶ時間が足りていなかったり、散歩が十分でなかったりといった事が考えられます。
通常犬の運動量は体格の差にもよりますが、例え小型犬であったとしても、散歩は最低30分必要だと言われています。
また、遊びにおいても性格によりけりではありますが、これでもか!という程遊ばないと満足しない犬もいます。
犬は日中ぐっすり寝ているように見えて、実はそこまでちゃんとした熟睡はしていません。
そのため十分な運動や遊びを疎かにすると、愛犬は肉体的な疲労感をあまり感じられずに、夜中目が覚めてウロウロと落ち着きなく、夜更かししてしまう場合があります。
犬が夜寝ない主な原因③:環境的ストレス
環境的ストレスで犬が夜寝ない原因としては、長年の人間との生活が大いに関係している場合があります。
基本的に犬は元々、自然界で外敵にいつ狙われてもおかしくない環境下で暮らしていたため、本来は夜行性で、とても眠りの浅い動物でした。
しかし、室内飼養が主流となった現在の生活環境と犬の高い順応力により、昼行性の生活に慣れていきました。
ただ犬は人と違って、深い睡眠で脳を休める機能を司るノンレム睡眠の割合は約20%しかなく、浅い眠りで体を休める機能を司るレム睡眠の割合は約80%と言われているため、少しの物音でも敏感に察知し、目を覚ましてしまいがちです。
そのため、人と生活を共にする上で常にさらされる生活音や部屋の明かり、不特定多数の人の声などは、環境的ストレスとして犬が夜寝ることを妨げている大きな原因の一つと言って良いでしょう。
犬が寝付かない時の原因別対処法
それではここからは、上記でご紹介した犬が夜寝ない主な原因の対処法を原因別でご紹介します。
ただし、対処法を実践する前には、必ず愛犬がなかなか寝付かない原因がどれなのかをしっかりと見極めてから実践するように心掛けてください。
精神的ストレスが原因で夜寝ない場合の対処法
もしも飼い主さんがここ最近愛犬にあまり構ってあげられていなかった、とか、近年主流になった在宅勤務の影響で、過保護になり過ぎた結果として愛犬が分離不安気味になっている場合には、まずは前者では構ってあげることを意識し、逆に後者では愛犬との接し方を見直してみましょう。
構わな過ぎて愛犬が精神的にストレスを感じ夜寝付きが浅い場合には、構ってあげることで改善する可能性があります。
一方で、在宅勤務がきっかけで愛犬が分離不安気味になり、精神的にストレスを感じ夜寝付きが浅い場合には、日中は愛犬との接し方を見直し、夜はあえて愛犬が飼い主さんたちの姿を確認できる場所で寝かせたり、思い切って一緒の布団に寝たりすると、分離不安症に加え、不眠も徐々に改善する可能性があります。
※ただし、分離不安症改善には根気が必要で注意する点も多いため、極端な愛犬との距離の取り方は、かえって分離不安を悪化させてしまう危険性があります。
実践する際には、事前に獣医師さんと相談し、適切な処方、指導などを受けた上で実践するように心掛けてください。
また、飼い主さんご自身のメンタル面が影響した愛犬の不眠については、上記でお伝えした通りなので割愛させて頂きます。
肉体的ストレスが原因で夜寝ない場合の対処法
仕事の関係や日々の忙しさから、愛犬との散歩が疎かになっていたり、充分に遊んであげられていなかったことで、愛犬が肉体的ストレスを感じ、夜眠りが浅くなっている場合には、可能な限り愛犬との時間を作って、ストレス軽減を試みましょう。
一般的には、犬の適切な平均的な散歩時間は、超小型犬に分類されるチワワでも1日2回の散歩で1回あたり最低30分、大型犬の場合には1回あたり最低1時間は必要だと言われています。
ただし、これはあくまで目安時間であって、実際は犬種ごと、犬の性格ごとに調整することが大切です。
特に小型犬に分類されて、尚且つ元々猟犬として活躍していたミニチュア・シュナウザーやトイプードルは、十分な量の運動を必要とする犬種です。
また、ブサカワ犬として人気があり、とても活発で友好的な性格をしているフレンチ・ブルドッグやボストン・テリアなども、体格は小さいですが、毎日十分な散歩は欠かせない犬種です。
小型犬だからという理由で、散歩はそこまでしなくて大丈夫という訳では決してないため、愛犬の肉体的ストレスを減らすためにも、出来るだけ時間を作って、愛犬のために散歩や遊びを増やしてあげてください。
環境的ストレスが原因で夜寝ない場合の対処法
愛犬が暮らす環境下が原因で夜寝付きが浅い場合には、愛犬が寝る時の環境を見直してあげる必要があります。
子犬や成犬などは比較的、音や光、気温、自分の体に合わない寝具などが影響して寝付きが浅くなっていることが考えられるため、夜寝る際には、適切な温度や静けさ、明るさの調節、寝る場所などを見直してあげてください。
もし、愛犬がシニアである時には、その時の愛犬の日々の状況や普段の睡眠時間などを総合的に判断して、状況改善に努めてあげましょう。
その結果、一時的に夜寝られずに起きてしまっている場合には、出来るだけ日中の散歩で日光を浴びさせてあげましょう。
体内時計のズレを改善することで、愛犬の不眠が改善する可能性があります。
ただ、シニア犬の場合で特に心配なのは、認知症です。
認知症は他にも夜鳴きをしたり、ウロウロ歩き回ったり、呼びかけに反応しなかったりするため、上記の体内時計のリセットに合わせて、ご自身だけでの改善を試みるのではなく、獣医師さんによる適切な処方や指導の下、愛犬の不眠を快方に向かわせてあげましょう。
犬が夜寝ない時に病気を疑った方が良い症状とは?
犬が夜なかなか寝ない理由には、痒みや痛みなどの病気・ケガが原因で寝付きが浅いことがあります。
犬が寝ない時に、睡眠時間の長さによっては病気を疑った方が良い症状があるため、以下で確認してみましょう。
【犬が夜寝ない時に病気が疑われる症状】
・夜の睡眠が短く浅い眠り→心臓疾患・呼吸器疾患・消化器症状
・昼の睡眠が長く動きたがらない→骨折などの疼痛
・昼の睡眠が長く夜に急に起きる→認知症(シニア)
以上が睡眠時間の長さによって、考えられる病気です。
その時の愛犬の様子や状況によって判断することが大前提ですが、元から気道の作りが狭い短頭犬種に関しては、いびきをかきやすく、心臓や呼吸器系等の影響は無視できないため、長引くようなら獣医さんに診てもらって適切な診断をしてもらってください。
また、上記以外でも、食欲がない、元気がないといった場合には、睡眠時間の長さに関わらず、動物病院で受診してもらうように心掛けてください。
まとめ
人にとってもそうですが、犬にとっても睡眠時間はとても大切です。
例え病気ではなく、一過性のものであったとしても、やはりなかなか夜寝ない状況があるのは愛犬も飼い主さんも辛いと思います。
「まだ若いし平気」とか、「シニア犬だし仕方ないよね?」と思う前に、今一度愛犬の睡眠を見直したり、時には動物病院を受診したりして、愛犬の健康維持に努めてあげてくださいね。
<参考書籍>
老犬生活 完全ガイド
マンガで納得!犬の気持ちがわかる
また、生前疾患の多かったシェットランド・シープドッグをキッカケに取得した愛玩動物飼養管理士などの様々な資格の知識を生かし、皆様に役立つような記事を提供、執筆出来ればと思っております。
何卒、よろしくお願い致します。
最新記事 by yukako (全て見る)
- ワンコと遊べる遊園地!那須ハイランドパーク体感レポート!<アトラクション編> - 2024年11月18日
- ペットの“もふもふプッシュ”にご用心!愛犬によって起こる火災事例や防ぐポイントを解説! - 2024年11月14日
- 犬が人に『頭突き』をするのはどうして?その心理や対応の仕方、注意点について解説! - 2024年11月9日
- 犬の『夏毛』と『冬毛』の違いって?換毛と脱毛の違いや部位によるブラシの使い分けについて - 2024年11月8日
- 愛犬と一緒にお出掛け・旅行時の事前準備や注意点、愛犬の健康チェックリストをご紹介! - 2024年11月6日