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食物アレルギーの犬はどんなシャンプーを選べばいいの?【動物看護師が解説】

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一見シャンプーと食べ物はなんの関係もないように思えますね。

でも実は、食べ物に気を配ることと同じくらい、シャンプーに気をつける事は大事なことなんです。

食物アレルギーとは?

通常、体の栄養源となる食べ物が消化され、吸収されても免疫反応は起こしません。

しかし、免疫機能や消化吸収の機能に問題が起こっていると、吸収された食べ物に害があると認識して体から排除しようとします。

体の中にアレルゲンが入ると、免疫細胞の指令によってかゆみや鼻水、下痢などのアレルギー症状が引き起こされます。

かゆみは体に異常が出ていることをいち早く知らせる、鼻水や下痢は害があるものを体の外に排出しようとする体の防御反応の一種なんですね。

アレルギー症状は、すぐに症状がでる場合と数時間たって症状がでる場合、数日たって症状がでる場合があります。

「食物アレルギー=すぐに症状がでる」ばかりではないので注意しましょう!

食物アレルギーは肌の乾燥や湿疹から始まる?!

食物アレルギーというと食べ物に目が行きがちですね。でも実は、食物アレルギーなどの発症に皮膚の乾燥や湿疹が関わっているという事はご存じでしょうか。

皮膚の一番外側の「表皮」という層には、皮膚に異物が侵入したときに攻撃してくれる見張り番の細胞(ランゲルハンス細胞)がいます。

健康な皮膚であれば、角質に守られており、角質の細胞の間も隙間はほとんどありません。そのため、アレルギー物質が触れても皮膚の中への侵入を防ぐことができます。

しかし、乾燥や湿疹、掻き傷などで角質が破壊されると皮膚に隙間ができます。隙間ができると見張り番の細胞が突起を外まで伸ばして、アレルギー物質を皮膚の中に取り込んでしまいます。

口からアレルギーとなる食べ物を食べていなくても、皮膚から侵入することによって食物アレルギーを発症することがあるのです。

また、乾燥した皮膚は表皮近くにかゆみを感じる神経が伸びてくるので、かゆみを感じてひっかいてしまい余計に傷を深くしてしまいがちです。

シャンプーで食物アレルギーになる?

2010年に人用の石鹸「茶のしずく石鹸」を使用していた方がアレルギーになってしまったというニュースが報道されました。

石鹸の中に小麦成分を細かく分解したものを含んでおり、その石鹸を使用した方が小麦アレルギーになってしまったというものです。

このことから口から食べるだけでなく、皮膚からアレルギー物質が入ることによって食物アレルギーになると考えられるようになりました(経皮感作といいます)

すべての方が小麦アレルギーを発症したわけではありませんし、小麦を含む石鹸が必ず小麦アレルギーを引き起こすわけではありません。

しかし、皮膚の状態によって食物アレルギーを引き起こしやすくなる、食べ物の成分を含むシャンプーが食物アレルギーをまねくこともあるということは覚えておきましょう。

どんなシャンプーを選ぶべき?

小麦成分が含まれているシャンプーやオーツ系のシャンプーを使用することで、穀物アレルギーを引き起こす、穀物アレルギーを持っているわんちゃんの症状が悪化する可能性があります。

また、シャンプーだけではなく保湿剤にピーナッツなどの食べ物の成分が含まれている場合もあります。

必ずしも穀物アレルギーを持っているわんちゃんが小麦が入っているシャンプーや保湿剤に反応するわけではありませんが、特定の食べ物に反応する場合は避けるか、使用前に皮膚科専門の獣医師さんに相談しましょう。

また、皮膚を乾燥させないために保湿剤の入ったシャンプーがオススメです。

保湿剤を配合しないシャンプーで洗った場合、経表皮水分蒸散量(皮膚から水分が逃げていく量のこと)は3日たってもシャンプー前の状態に戻っていないそう。つまり、シャンプーで皮脂が洗い落とされてしまい、皮膚が非常に乾燥している状態となっているのです。

乾燥した皮膚はアレルギーの発症リスクをあげるので、保湿剤が含まれたシャンプーを選び、シャンプー後は保湿剤でしっかり保湿してあげましょう。

食物アレルギーのわんちゃんは同時にアトピー性皮膚炎も併発しやすいと言われています。

皮膚のバリア機能が落ちていると、いろいろな刺激に反応しがちです。

食べ物に加えて、シャンプーや保湿剤などにも気を配ってあげることが大切ですね。

<参考文献>

・アジア動物スキンケア検定 公式テキスト 動物スキンケア実践ガイド 岩﨑 利郎 (著)

・皮膚バリア機構解明プロジェクト 慶応義塾大学病院 皮膚科

・加水分解コムギ含有石鹸の事例 国立医薬品食品衛生研究所

・よくわかる食物アレルギー対応ガイドブック 環境再生保全機構

・シャンプーのリスク どうぶつの皮膚科 耳科 アレルギー科

・Factors associated with the development of peanut allergy in childhood

<画像元>

illust STAMPO

ICOOON MONO

Unsplash

イラストAC

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伊藤さん

伊藤さん

・倉敷芸術科学大学 生命動物科学科卒業
・(元)認定動物看護師
・一般社団法人日本小動物獣医師会 動物診療助手

やんちゃなミックス犬とおっとりトイプードルと暮らす。

大学在学中に「病気になる前の予防が一番大事」と気づき、
ペットフードやペットサプリメントの会社に就職。
「食」に関するさまざまな知識を身につける。

愛犬を亡くしたときに
「もっと色んな情報を知っておけば」と感じた後悔を
「他の飼い主さんにはさせたくない」との思いから、
ライター活動を開始。

「勉強になった・信頼・わかりやすい」を目標に情報を発信しています。